無理なく続けられる家計改善:保険料を賢く見直すステップ
家計改善の第一歩として保険料を見直す意義
家計管理を始めようと思っても、「何から手をつけて良いか分からない」「節約は辛そう」と感じる方は少なくありません。特に、毎月一定額がかかる固定費は、見直せば継続的な効果が期待できる反面、その手続きが面倒に感じられ、つい後回しにしてしまいがちです。
中でも保険料は、加入時には必要だと思っても、その後のライフステージの変化によって過剰になったり、逆に不足したりすることがあります。しかし、保険の内容は専門的で分かりにくく、見直しに踏み出せないという声もよく聞かれます。
本記事では、そうした方々に向けて、無理なく続けられる家計改善のステップとして、保険料を賢く見直す具体的な方法をご紹介します。保険料の見直しは、一度行うことで長期的に家計にゆとりをもたらし、「貯まる体質」を作るための有効な手段の一つとなります。
なぜ保険料の見直しが重要なのか
「貯まる体質」とは、単に支出を切り詰めるだけでなく、収入と支出のバランスを把握し、将来に向けて計画的にお金を管理できる状態を指します。この体質を作る上で、固定費の管理は非常に重要です。
保険料は、毎月または毎年自動的に引き落とされるため、一度加入するとその金額を意識しなくなる傾向があります。しかし、生涯にわたって支払う保険料の総額は大きな金額になります。必要以上の保障に加入していたり、現在の状況に合わない保険を続けていたりすると、その分だけ本来貯蓄や他の支出に回せるはずだったお金が保険料として消えていくことになります。
保険料を見直すことは、単なる節約ではなく、現在の自分や家族にとって本当に必要な保障を適正な保険料で得るための大切なプロセスです。これにより、無駄な支出を削減し、家計全体のバランスを整えることができるのです。
保険料を賢く見直すための具体的なステップ
それでは、保険料の見直しを無理なく進めるための具体的なステップを見ていきましょう。
ステップ1:現在加入している保険を「見える化」する
まずは、現在どのような保険に加入しているのか、全てを把握することから始めます。
- 保険証券を集める: 自宅にある保険証券を全て集めてみましょう。家族の分もまとめて確認します。
- リストを作成する: 集めた保険証券をもとに、保険会社名、保険種類(生命保険、医療保険、がん保険など)、保障内容、保険料、保険期間、契約者・被保険者などの主要な情報を一覧にまとめます。簡単なメモでも構いません。保険証券が見つからない場合は、保険会社に連絡して再発行を依頼するか、契約内容を確認しましょう。
このステップは、家計管理の最初のステップである支出の「見える化」と同じです。自分が何にいくら払っているのかを正確に知ることから全てが始まります。
ステップ2:現在のライフステージと必要な保障内容を確認する
次に、現在の自分や家族の状況に必要な保障は何かを考えます。
- ライフステージの変化を振り返る: 結婚した、子どもが生まれた、住宅を購入した、転職したなど、加入時から現在までのライフステージの変化を振り返ります。
- 必要な保障額を考える: 万が一のことがあった場合に必要となる資金(遺族の生活費、教育資金、住宅ローンなど)や、病気や怪我で働けなくなった場合の収入減をカバーするために必要な保障額を想定します。公的な保障(健康保険の高額療養費制度、遺族年金など)も考慮に入れると、本当に必要な保障額が見えてきます。
ステップ3:現在の保障内容と必要な保障内容を比較する
ステップ1で「見える化」した現在の保障内容と、ステップ2で考えた必要な保障内容を比較します。
- 過不足を確認する: 現在の保険で、必要な保障が十分にカバーされているか、あるいは逆に過剰な保障になっていないかを確認します。
- 保障の重複がないか確認する: 複数の保険に加入している場合、同じ保障が重複している可能性があります。例えば、医療保険とがん保険で保障内容が一部重複している、夫婦それぞれが似たような特約をつけている、などです。重複している部分は無駄な保険料を支払っている可能性があります。
- 不要な特約がないか確認する: 加入時には良いと思った特約も、現在の状況では不要になっていることがあります。例えば、特定の疾病に備える特約でも、その病気のリスクが低い、あるいは他の保険でカバーできている、といった場合です。
ステップ4:見直しの具体的な方法を検討する
比較検討の結果、見直しの余地がありそうだと判断した場合、具体的な方法を検討します。
- 保障内容の変更: 保障額を減額する、特約を外すなどが考えられます。これにより保険料を抑えることができます。
- 保険種類の変更: 定期保険から終身保険へ、あるいはその逆など、保険の種類自体を変更することも検討できます。
- 保険会社の乗り換え: 現在加入している保険よりも、同じ保障内容で保険料が安い、あるいはより条件の良い別の保険会社の商品がないかを探します。
- 解約: 必要最低限の保障が確保できている、あるいは公的な保障で十分と判断できる場合、不要な保険は解約も選択肢に入ります。ただし、安易な解約は将来のリスクに備えられなくなる可能性もあるため、慎重な判断が必要です。
ステップ5:情報収集と比較を行う
見直しの方法が決まったら、具体的な商品やプランの情報収集と比較を行います。
- 複数の保険会社の情報を集める: インターネットの比較サイトを利用したり、複数の保険会社の資料を取り寄せたりします。
- 専門家(FPなど)に相談する: 保険は複雑な商品が多く、自分で判断するのが難しい場合もあります。中立的な立場であるファイナンシャルプランナー(FP)などに相談し、専門的なアドバイスを受けることも有効です。現在の状況や将来の希望を伝え、最適なプランを提案してもらいましょう。
ステップ6:見直しを実行する
検討の結果、最適な保険が見つかったら、実際の手続きを行います。
- 手続きを行う: 保険会社に連絡し、保障内容の変更、解約、乗り換えなどの手続きを進めます。乗り換えの場合は、新しい保険の加入手続きと古い保険の解約手続きが必要になります。手続きのタイミングを誤ると、保障がない期間ができてしまうリスクもあるため注意が必要です。
ステップ7:定期的に見直しの習慣をつける
保険料の見直しは一度行えば終わりではありません。ライフステージは今後も変化していきます。
- 定期的なチェックを習慣に: 結婚、出産、子の独立、住宅購入、退職など、ライフイベントが発生した際に、その都度保険内容が現在の状況に合っているかチェックする習慣をつけましょう。最低でも数年に一度は定期的に見直すことをおすすめします。
無理なく続けるためのヒント
保険料の見直しは、上記のようにステップを踏めば一つずつ進めることができます。一度に全てをやろうとせず、「まずは加入している保険証券を集めてみる」といった小さな一歩から始めてみてください。
また、保険料は毎月かかる支出だからこそ、見直しの効果は継続的に現れます。削減できた保険料を貯蓄に回すなど、削減分を明確に意識することで、家計管理のモチベーション維持にも繋がります。
まとめ
保険料の見直しは、家計の固定費を削減し、「貯まる体質」を作る上で非常に有効な手段です。本記事でご紹介した以下のステップを参考に、無理のないペースで取り組んでみてください。
- 現在加入している保険を「見える化」する
- 現在のライフステージと必要な保障内容を確認する
- 現在の保障内容と必要な保障内容を比較する
- 見直しの具体的な方法を検討する
- 情報収集と比較を行う
- 見直しを実行する
- 定期的に見直しの習慣をつける
保険料を適正化することで、毎月の支出が軽減され、より計画的に資金を管理できるようになります。これは、将来への漠然とした不安を軽減し、希望を持って家計と向き合うための一歩となるはずです。焦らず、着実に、ご自身のペースで進めていきましょう。