無理なくできる電気・ガス代の見直しステップ
家計改善を始めたいけれど、何から手をつければ良いか分からない、という方は少なくありません。特に、毎月請求が来る電気代やガス代は「どうしようもない固定費」のように感じてしまい、見直しを諦めている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、電気代やガス代は、工夫次第で無理なく支出を減らし、「貯まる体質」を作るための一歩になり得ます。特に、近年の電力・ガス自由化により、消費者が自ら会社やプランを選べるようになったことは、家計改善において大きなチャンスとなります。
「貯まる体質」と電気・ガス代見直しの重要性
「貯まる体質」とは、単に節約を我慢することではなく、収入と支出の流れを把握し、コントロールすることで、計画的に貯蓄ができる状態を指します。この体質を作る上で、毎月決まって発生する固定費の見直しは非常に効果的です。
固定費は一度見直せば、その後も継続的に節約効果が生まれます。通信費や保険料など、様々な固定費がありますが、電気代やガス代もその一つです。日々の小さな節約も大切ですが、固定費の見直しは、まとまった金額の節約につながりやすく、家計改善の成果を感じやすいというメリットがあります。
電気・ガス代を無理なく見直すステップ
ここでは、家計管理初心者の方でも無理なく取り組める、電気・ガス代の見直しステップをご紹介します。
ステップ1:現状を「見える化」する
まずは、ご自宅の電気とガスの利用状況を把握することから始めます。これが家計管理の最初のステップである支出の「見える化」にあたります。
- 過去の請求書を確認する: 直近1年分の請求書を確認してみましょう。月ごとの電気使用量(kWh)とガス使用量(㎥)、それぞれの料金、契約しているプラン名、契約アンペア(A)や契約熱量(MJ/h)などを把握します。
- 年間での使用量トレンドを知る: 1年分のデータを見ることで、季節による使用量の変化が分かります。例えば、夏や冬にエアコンなどで電気使用量が大きく増える、冬にガス使用量が増える、といった傾向です。
- 現在の契約内容を理解する: ご自身がどの電力会社、ガス会社と契約しており、どのような料金プランを利用しているのかを確認します。多くの場合は請求書やWeb明細で確認できます。
現状を把握することで、どこに無駄があるのか、どの時期に多く使っているのかが見えてきます。
ステップ2:小さな「節約行動」を試す
現状把握ができたら、まずは日々の暮らしの中でできる小さな節約行動を試してみましょう。これは無理なく続けるための大切なステップです。完璧を目指す必要はありません。
- エアコンの設定温度を見直す: 環境省では、夏の冷房時は室温28℃、冬の暖房時は室温20℃を推奨しています。無理のない範囲で設定温度を調整するだけでも効果があります。扇風機やサーキュレーターを併用して効率を高める工夫も有効です。
- 照明をLEDに変える: 白熱電球や蛍光灯をLED照明に変えることで、消費電力を大幅に削減できます。初期費用はかかりますが、長寿命であるため交換の手間も省けます。
- 待機電力を減らす: 使っていない家電製品の電源をコンセントから抜く、またはスイッチ付きタップを利用することで、待機電力をカットできます。全ての家電で徹底するのは難しいため、よく使うものから始めるなど、できる範囲で試してみましょう。
- 保温・断熱を工夫する: 窓に断熱シートを貼る、厚手のカーテンを使う、隙間風を防ぐといった対策は、冷暖房効率を高め、結果として電気・ガス代の節約につながります。
これらの行動は、すぐに大きな効果が見えなくても、積み重ねることで無理なく継続的な節約につながります。
ステップ3:契約プラン・会社を「見直す」
ステップ1と2で現状を把握し、日々の節約行動を試したら、いよいよ契約自体の見直しを検討します。電力・ガス自由化によって、様々な会社やプランが登場しています。
- 比較サイトを活用する: 現在の利用状況(ステップ1で把握した月々の使用量など)を入力することで、各社が提供する様々な料金プランを比較できるサイトが多数存在します。ご自身に最適なプランを見つける手助けになります。
- 料金プランの種類を知る:
- 基本料金: 使用量に関わらず毎月かかる料金です。契約アンペア(電気)や契約熱量(ガス)によって変わります。
- 電力量料金/ガス料金: 使用量に応じてかかる料金です。使用量が多いほど単価が高くなる段階制や、時間帯によって単価が変わるプランなどがあります。
- 燃料費調整額/原料費調整額: 燃料価格の変動に応じて毎月調整される金額です。
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金: 国が定めた再生可能エネルギー普及のための費用で、全ての方が負担します。 ご自身の使用パターンに合ったプランを選ぶことが重要です。例えば、夜間に電気を多く使う方は夜間割引プラン、家族が多く使用量が多い方は定額に近いプランなど、ライフスタイルに合ったプランを選ぶことで、無理なく料金を抑えることができます。
- セット割引やポイントプログラムを確認する: 携帯電話やインターネット、他のガス会社などとセットで契約することで割引が適用される場合があります。また、利用金額に応じてポイントが貯まる会社もあります。総合的に見て、最もお得になる組み合わせを検討しましょう。
- 契約アンペア(A)や契約熱量(MJ/h)を見直す: 同時に使う電気機器が多い場合は大きなアンペアが必要ですが、使用状況に対して契約アンペアが大きすぎる場合は、基本料金を無駄に支払っている可能性があります。現状の使用状況を確認し、必要に応じて契約容量を下げることも検討できます(ただし、下げすぎるとブレーカーが落ちやすくなるため注意が必要です)。
契約先やプランの切り替えは、多くの場合、Webや電話で手続きが完結し、工事なども不要なため、思っているよりもずっと手軽に行えます。
ステップ4:定期的に「見直す」習慣をつける
一度電気・ガス代の見直しを行っても、それで終わりではありません。生活の変化(家族構成、働き方など)や、電力・ガス会社の新しいプランの登場などに合わせて、定期的に見直すことが重要です。
- 請求書を毎月確認する: 毎月請求書が届いたら、使用量と料金をチェックする習慣をつけましょう。無駄な使い方が増えていないか、契約プランと乖離が出ていないかなどを把握できます。
- 年1回程度、契約プランを見直す: ライフスタイルに変化があった際や、電力・ガス市場の動向(新しい会社の参入、お得なプランの登場など)に合わせて、年1回程度は現在の契約が最適か確認する機会を設けましょう。
このステップは、家計管理全体に言えることですが、定期的な進捗確認と見直しは、「貯まる体質」を維持・強化するために不可欠です。
無理なく続けるためのヒント
電気・ガス代の見直しは、日々の意識や行動の変化、そして契約の見直しという具体的なステップで構成されています。全てを一度に完璧に行おうとするのではなく、まずはステップ1の現状把握から始め、一つずつ無理のない範囲で取り組むことが成功の鍵です。
小さな節約行動でも、継続することで確実に支出は減ります。そして、契約を見直すことで、同じように電気・ガスを使っても料金が変わるという、固定費見直しの効果を実感できるでしょう。この成功体験が、家計改善を続けるモチベーションにつながります。
結論
電気・ガス代の見直しは、「貯まる体質」を作るための具体的な一歩です。まずは現状を把握し、できることから小さな節約行動を始め、そして契約プランや会社を見直す。最後に、この見直しを習慣化すること。
これらのステップを無理なく進めることで、毎月の支出を確実に減らすことが期待できます。電気・ガス代の削減は、家計全体の改善につながり、将来への漠然とした不安を軽減し、計画的な貯蓄を可能にします。今日からできる小さな一歩を踏み出し、着実に「貯まる体質」を目指しましょう。