無理なく続けられる家計改善:通信費を賢く見直すステップ
家計改善に取り組みたいけれど、何から始めれば良いか分からない、あるいは節約は我慢ばかりで続かないのではないかと感じていらっしゃるかもしれません。特に、毎月決まって出ていく支出の中でも、通信費は「なんとなく支払っている」という方も少なくないのではないでしょうか。
通信費の見直しは、一度手続きを行えば継続的な効果が期待できるため、家計改善の入り口として非常に効果的です。「貯まる体質」への第一歩として、無理なく、そして賢く通信費を見直す具体的なステップをご紹介します。
「貯まる体質」と通信費見直しの重要性
「貯まる体質」とは、単に支出を切り詰めることではなく、自分のお金の流れを把握し、コントロールできるようになる状態を指します。収入の範囲内で計画的に支出を行い、将来の目標に向けて資金を積み立てられるようになることです。
この「貯まる体質」を作る上で、支出の「見える化」と「最適化」は欠かせません。通信費は、家賃や保険料などと同様に、多くの場合毎月発生する固定費(あるいはそれに準じる支出)です。金額が大きい場合も多く、ここを見直すことで毎月の支出を大きく減らすことができる可能性があります。しかも、一度見直せばその効果は継続しますから、無理なく続けられる家計改善の代表例と言えます。
ステップ1:今の通信費を正確に把握する
まず最初に行うべきは、ご自身の現在の通信費がいくらになっているかを正確に把握することです。
- 請求書やマイページを確認する: 毎月送られてくる請求書や、契約している通信会社(携帯電話、インターネット回線など)の会員向けウェブサイト(マイページ)を確認してください。ここに、基本料金、データ通信料、通話料、オプション料金などが詳しく記載されています。
- 支払い方法を確認する: クレジットカードや口座振替など、どのように支払っているかも確認しておくと、見直し後の手続きがスムーズになる場合があります。
- 家族全体の合計を確認する: ご家族がいる場合は、全員分の携帯電話料金や自宅のインターネット回線料金などを合計して、全体の通信費を把握しましょう。
このステップは、「何にいくら使っているか分からない」という家計管理初心者の課題を克服する上で非常に重要です。数字を具体的に把握することで、見直しの必要性や、見直しによってどれくらいの効果が見込めるかを実感できます。
ステップ2:利用状況を把握する
現在の通信費を把握したら、次はご自身の(またはご家族の)実際の利用状況を確認します。
- データ使用量: スマートフォンの契約プランを見直す上で最も重要です。携帯会社のアプリやマイページで、毎月のデータ使用量を確認できます。直近数ヶ月分を見ると、平均的な使用量が分かります。動画視聴が多いのか、SNS利用が多いのかなど、使い方を振り返ることも役立ちます。
- 通話頻度: 無料通話オプションが必要かどうかの判断材料になります。普段の通話はLINE通話などの無料アプリで済ませているのか、仕事などで固定電話や携帯電話への通話が多いのかを確認します。
- 契約オプション: 加入している有料オプションを確認します。使っていないのに支払い続けているオプションがないか確認しましょう。セキュリティサービス、特定のコンテンツサービス、留守番電話サービスなど、本当に必要か検討します。
利用状況を把握することで、現在の契約プランがご自身の使い方に合っているのかが見えてきます。使っていないサービスに料金を払っていたり、実際のデータ使用量に対して大容量プランを契約していたりする「無駄」が見つかることがあります。
ステップ3:見直しの選択肢を知る
現状と利用状況が把握できたら、次にどのような見直し方があるのかを知りましょう。主な選択肢は以下の通りです。
- 現在のキャリアの料金プラン変更: 同じ通信会社内でも、様々な料金プランが提供されています。ご自身の利用状況に合わせて、より安いプランに変更できないか確認します。特に近年は、大手キャリアも以前より安価なオンライン専用ブランドや新料金プランを発表しています。
- 格安SIM(MVNO)への乗り換え: 大手キャリアから回線を借りてサービスを提供する格安SIMは、一般的に料金が安価です。ただし、通信速度が時間帯によって遅くなる可能性がある、キャリアメールが使えなくなる、店舗でのサポートが少ない、といった違いもあります。ご自身の重視する点(料金、速度、サポートなど)を考慮して検討します。
- 光回線やホームルーターの見直し: 自宅のインターネット回線も同様に、契約プランや提供会社を見直すことで通信費を削減できる場合があります。特に、スマートフォンのキャリアと自宅のインターネット回線をセットで契約すると割引が適用される「セット割」がある場合が多いので、乗り換えを検討する際はセット割も考慮に入れると良いでしょう。
これらの選択肢の中から、ステップ2で把握したご自身の利用状況と照らし合わせ、最も適したものを検討します。
ステップ4:自分に合ったプランを選ぶ
いくつかの選択肢が見えてきたら、比較検討して最適なプランを選びます。
- 料金シミュレーションを活用する: 多くの通信会社のウェブサイトには、料金シミュレーション機能があります。ご自身のデータ使用量や通話頻度を入力して、乗り換え後の料金を具体的に計算してみましょう。
- 重要なポイントを比較する: 単に料金だけでなく、以下の点も比較検討します。
- データ容量と超過時の速度制限
- 通話料金や無料通話オプション
- 通信速度の安定性(特に格安SIMの場合)
- 契約期間の縛りや違約金
- サポート体制(オンラインのみか、店舗があるか)
- 家族割引やインターネットとのセット割
「無理なく」続けるためには、料金だけでなく、ご自身の使い方やサポートの必要性など、譲れない条件も考慮することが大切です。安さだけを追求して、使い勝手が悪くなりストレスを感じてしまうと、継続が難しくなります。
ステップ5:具体的な手続きを行う
最適なプランが見つかったら、いよいよ具体的な手続きに進みます。
- 必要なものを準備する: 本人確認書類、MNP予約番号(携帯会社を乗り換える場合)、クレジットカードや銀行口座情報など、契約に必要なものを準備します。
- 申し込み方法を選ぶ: オンラインでの申し込みが最も一般的で手続きも比較的簡単ですが、不安な場合は店舗や電話でのサポートを利用できる会社を選ぶことも可能です。
- 開通手続き: 新しいSIMカードが届いたり、インターネット回線の工事が終わったりしたら、開通手続きを行います。多くの場合、案内に沿って簡単な設定をするだけで完了します。
手続き自体は少し手間がかかるように感じるかもしれませんが、一度終えれば毎月の支出に継続的に良い影響を与えます。
ステップ6:見直し後の確認と継続
新しいプランでの利用が始まったら、しばらくの間、以下の点を確認しましょう。
- 実際の料金を確認する: 最初の請求書で、想定していた料金になっているか確認します。
- 使い勝手を確認する: 通信速度に問題はないか、データ容量は足りているか、通話は問題なくできているかなどを確認します。
- 必要に応じて再調整: もし使い勝手に問題があったり、やはりプランが合わなかったりした場合は、再度プラン変更や見直しを検討することも可能です。一度経験すれば、次の見直しはさらにスムーズに行えるはずです。
通信費の見直しは、一度行えば効果が続く「放置型」の節約とも言えます。この成功体験は、他の支出の見直しに取り組む上での自信にもつながります。
まとめ
通信費の見直しは、家計管理初心者の方でも無理なく取り組める、効果的な家計改善のステップです。
- 現状把握: 今、いくら通信費を払っているかを知る
- 利用状況把握: 自分がどのように利用しているかを知る
- 選択肢を知る: どんな見直し方法があるかを知る
- 最適な選択: 利用状況に合ったプランを選ぶ
- 手続き: 具体的な申し込みを行う
- 確認と継続: 見直し後の状況を確認し、必要なら再調整する
これらのステップを順番に進めることで、無駄な支出を減らし、毎月の家計に余裕を生み出すことができます。生まれた余裕を貯蓄に回すことで、「貯まる体質」はより確実なものとなっていきます。
最初の一歩を踏み出すことは勇気がいるかもしれませんが、通信費の見直しは、その後の家計改善の取り組みを成功させるための小さな成功体験となり得ます。将来への漠然とした不安を減らし、お金との付き合い方をより前向きなものに変えていきましょう。