無理なく続ける家計管理:節約ばかりにならない「楽しみ」のための予算の作り方・使い方
家計管理は「節約」だけではありません
家計管理と聞くと、「とにかく節約しなければならない」「欲しいものを我慢し続ける」といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。確かに、支出を見直すことは家計改善の重要な一歩ですが、それだけでは息が詰まってしまい、家計管理を長く続けることが難しくなる可能性があります。
「貯まる体質」を作る目的は、単にお金を貯めることだけではなく、将来の安心を確保したり、時には日々の生活に彩りを与えたりするためでもあります。そのためには、ただ支出を減らすだけでなく、自分や家族が大切にしたい「楽しみ」のためにお金を使うことも計画に組み込むことが大切です。無理なく家計管理を続けるためには、節約と楽しみのバランスを見つけることが鍵となります。
「貯まる体質」とは、お金をコントロールできる状態です
「貯まる体質」とは、収入と支出を把握し、計画的にお金を管理できる状態を指します。この状態になると、漠然としたお金の不安が減り、将来の目標(貯蓄、大きな買い物、旅行など)に向けて、逆算して今何をすべきかが見えてくるようになります。
お金をコントロールできるようになれば、闇雲な節約ではなく、使うべきところと抑えるべきところを自分で判断できるようになります。そして、適切に管理することで生まれた余裕を、将来のためだけでなく、日々の生活における「楽しみ」のためにも計画的に使えるようになるのです。
では、具体的にどのようにして「楽しみ」のためのお金を確保し、家計管理を無理なく続けることができるようになるのか、ステップに沿って見ていきましょう。
ステップ1:まずは家計全体を「見える化」する
何にいくら使っているかを知ることは、家計管理の最初の、そして最も重要なステップです。まずは1〜2ヶ月ほど、ご自身のお金の流れを記録してみてください。家計簿アプリ、ノート、スプレッドシートなど、ご自身が続けやすい方法で構いません。
この時、支出項目を細かく分類することが後のステップに繋がります。食費、日用品、光熱費などの必須の支出だけでなく、「娯楽費」「交際費」「趣味」「自分へのご褒美」といった、日々の楽しみに関わる支出項目も設けてみましょう。
(参考:無理なく続けられる家計管理:あなたに合った「支出を見える化」ツールの選び方・使い方)
ステップ2:支出を分析し、「削れる無駄」と「大切にしたい楽しみ」を見つける
家計の「見える化」ができたら、次にその結果を分析します。記録した支出を見返しながら、以下の点を考えてみてください。
- 削れる無駄:
- 何に使ったか思い出せないお金はないか
- 衝動的に買ってしまい、後で後悔したものはなかったか
- なくても生活に支障がない、あるいはより安価な代替品がある支出はないか
- 利用していないサービスの月額料金(サブスクリプション)はないか(参考:無理なくできる家計改善:見落としがちな固定費(サブスク)を見直すステップ)
- 大切にしたい楽しみ:
- 使った時に「よかった」「満足した」と感じたお金は何か
- 趣味や自己投資など、将来の自分にとってプラスになる支出は何か
- 家族や友人との大切な時間を過ごすための支出は何か
このステップでは、ご自身の価値観と向き合うことが重要です。他の人にとっての無駄が、あなたにとっては大切なことかもしれませんし、その逆も然りです。ご自身にとっての「無駄」と「楽しみ」を正直に見極めてみましょう。無駄を削ることで、その分を大切な楽しみや貯蓄に回せるようになります。
ステップ3:「楽しみ」のための予算を設定する
「見える化」と「分析」の結果を踏まえて、次に「楽しみ」のための予算を設定します。
- 必要な支出を計算する: 収入から、家賃やローンの支払い、光熱費、通信費などの固定費、そして食費や日用品などの必須の変動費を差し引いてみましょう。
- 貯蓄目標額を決める: 将来の目標(例:半年後に〇万円貯める)があれば、そこから逆算して毎月貯蓄したい金額を決めます。(参考:無理なく続けられる家計改善:将来の目標に向けた貯蓄計画の立て方)
- 残った金額を「楽しみ」に充てる: 収入から、固定費、必須の変動費、貯蓄目標額を差し引いた残りの金額を、分析で見つけ出した「大切にしたい楽しみ」のために使える予算として割り振ります。もし予算が少ないと感じる場合は、ステップ2に戻り、さらに削れる無駄がないか検討するか、あるいは貯蓄目標額を少し調整することも考えられます。
- 予算を項目別に設定する: 設定した「楽しみ」のための総予算を、「外食費」「趣味費」「被服費」「旅行積立」といった具体的な項目に分けて設定します。
この予算設定は、あくまで目安であり、最初はうまく行かないこともあるかもしれません。大切なのは、完璧を目指すのではなく、まずは試してみることです。
(参考:無理なく家計をコントロール:簡単予算設定と管理のステップ)
ステップ4:設定した予算内で「楽しみ」を実行・管理する
予算が決まったら、いよいよその予算の中で「楽しみ」を実行していきます。予算を守るための具体的な方法をいくつかご紹介します。
- 現金を項目別に分ける: 設定した予算額を封筒などに項目別に分けて管理すると、視覚的に予算の残りが把握しやすくなります。
- 家計簿やアプリで追跡する: 家計簿やアプリに支出を記録する際に、どの項目の予算から支払ったかを明確に記録します。予算残高が表示される機能を使うと便利です。
- クレジットカードの利用明細を確認する: クレジットカードで支払った場合も、利用明細をこまめに確認し、設定した予算を超えていないかチェックしましょう。
- 予算オーバーしそうな時の対応: もし、ある月の特定の楽しみで予算を超えそうになったら、他の楽しみの支出を控えたり、翌月の予算から前借りしたりするなど、全体で辻褄を合わせる工夫をします。
予算内で工夫して楽しむことは、満足度を高めるだけでなく、お金の管理能力も向上させます。予算を意識することで、無計画な支出が減り、本当に価値を感じるものにお金を使えるようになるでしょう。
ステップ5:定期的に見直す
家計管理、そして「楽しみ」のための予算管理は、一度設定したら終わりではありません。生活状況は変化しますし、何に楽しみを感じるかも変わっていく可能性があります。月に一度、あるいは数ヶ月に一度など、定期的に家計全体と「楽しみ」のための予算を見直す時間を作りましょう。
- 設定した予算通りに管理できたか
- 「楽しみ」のために使ったお金は、期待した満足度をもたらしたか
- 設定した予算額は適切か、増減させる必要はないか
- 他に新しく見つけた「削れる無駄」や「大切にしたい楽しみ」はないか
この見直しのプロセスを通じて、ご自身の家計管理の方法をブラッシュアップし、より無理なく、より効果的に続けられるように調整していきます。
(参考:無理なく家計管理を続けるために:定期的な進捗確認と見直しのステップ)
継続することが「貯まる体質」を確かにします
家計管理は、一朝一夕に劇的な変化をもたらすものではありません。しかし、今回ご紹介した「楽しみ」のための予算を組み込むステップのように、無理なく続けられる工夫を取り入れることで、確実に「貯まる体質」への一歩を踏み出すことができます。
家計を把握し、無駄を減らし、大切なことには計画的にお金を使う。このサイクルを繰り返すことで、お金に関する漠然とした不安は和らぎ、将来への希望を持つことができるようになります。完璧を目指す必要はありません。できることから少しずつ始めて、ご自身にとって心地よい家計管理の方法を見つけていきましょう。