無理なくできる特別費の積み立て方:急な出費に慌てない家計管理ステップ
家計管理を始め、「貯まる体質」を目指して収入や毎月の支出を把握するようになると、着実に貯蓄が増えていく実感を持つことができます。しかし、しばらくすると、「年に一度の車の税金」「久しぶりの冠婚葬祭」「家電の買い替え」など、毎月は発生しないけれど、まとまったお金が必要になる出費が unexpectedly 発生し、計画が狂ってしまう経験はないでしょうか。
このような、定期的に発生しない大きな出費を「特別費」と呼びます。この特別費を計画に入れずに家計管理を行うと、積み立てた貯蓄を崩してしまったり、せっかくの家計改善のモチベーションが下がってしまったりする原因になります。
この記事では、「無理なく続けられる家計改善」の視点から、急な出費である特別費に慌てず対応できるよう、計画的に積み立てる具体的なステップをご紹介します。特別費を管理できるようになれば、家計はさらに安定し、「貯まる体質」が強化されます。
なぜ特別費の管理が必要なのでしょうか?
多くの家計管理は、毎月の収入と毎月かかる固定費・変動費を中心に考えがちです。しかし、私たちの生活には、毎月は発生しないけれど避けて通れない、あるいは人生を豊かにするために必要な出費があります。例えば、以下のようなものです。
- 年間で発生するもの: 自動車税、固定資産税、火災保険料、生命保険料(年払い)、NHK受信料(年払い)、ふるさと納税など
- 数年に一度発生するもの: 車検代、住宅のリフォーム費用、家電の買い替え、大型家具の購入など
- ライフイベント: 結婚式、出産、進学、旅行、冠婚葬祭、医療費など
これらの特別費を計画せずに迎えると、その月の家計収支が大きく赤字になったり、無理な節約が必要になったりします。計画的に準備することで、慌てずに済み、貯蓄ペースを守ることができます。特別費を家計に組み込むことは、より現実的で持続可能な「貯まる体質」を作るために不可欠なのです。
特別費を無理なく計画・積み立てる具体的なステップ
それでは、特別費を家計管理に組み込み、無理なく積み立てていくための具体的なステップを見ていきましょう。
ステップ1:特別費になりそうな出費を洗い出す
まずは、今後発生しそうな特別費をリストアップすることから始めます。
- 過去を振り返る: 過去1年から数年の家計簿や通帳、クレジットカードの明細などを確認し、毎月ではない大きな出費があったかを洗い出します。例えば、「昨年の夏に旅行に行った」「2年前に冷蔵庫を買い替えた」「毎年5月に自動車税を払っている」などです。
- 未来の予定を確認する: 今後1年から数年以内に予定していること、あるいは起こりうることを考えます。「来年子供が小学校に上がる」「3年後に車検がある」「〇年後には海外旅行に行きたい」「そろそろエアコンが古くなってきた」など、具体的なイベントや必要なものを書き出します。
この段階では、金額はだいたいの目安で構いません。大切なのは、特別費の存在を認識し、具体的な項目をリストアップすることです。
ステップ2:年間で必要な特別費の目安を立てる
ステップ1で洗い出した特別費について、それぞれのおおよその金額と、それが今後1年間に発生するか、あるいは積立が必要かを見積もります。
- 金額の見積もり: 過去のデータがあればそれを参考にします。予定しているものについては、インターネットで調べたり、友人・知人に聞いたりして目安となる金額を把握します。
- 発生時期の特定: いつ頃その出費が発生しそうか、あるいはいつまでに積み立てを完了したいかを特定します。年払いの保険料などは時期が決まっています。家電の買い替えなどは「〇年後くらいまでには」といった大まかな時期でも構いません。
- 年間合計の算出: 1年間に発生しそうな特別費(あるいは、今後数年で発生する特別費を1年あたりに均したもの)の合計金額を計算します。
例えば、自動車税5万円、年払い保険料10万円、来年の旅行費用20万円(今年の積立目標額10万円)、家電買い替え積立(年間5万円)の場合、年間の特別費目安は 5万円 + 10万円 + 10万円 + 5万円 = 30万円となります。
ステップ3:月々の積立額を計算する
ステップ2で算出した年間の特別費目安を、無理のない範囲で月々に割り振ります。
年間30万円が必要な場合、単純に12で割ると 月々2万5千円の積立が必要になります。この金額が家計にとって負担になるようであれば、少しずつ調整が必要です。
- 無理のない金額に調整: 最初から大きな金額を積み立てるのが難しい場合は、まずは実現可能な小さな金額から始めます。「月5千円でも良いから始めてみる」という姿勢が大切です。
- ボーナスを活用する: ボーナス月にまとめて積み立てることも効果的です。ただし、ボーナスは変動する可能性があるため、ボーナスだけに頼りすぎるのはリスクがあります。月々の積立とボーナスからの積立を組み合わせるのがおすすめです。
- 優先順位をつける: すぐに必要になる特別費(例: 来年の自動車税)と、まだ先の特別費(例: 数年後のリフォーム費用)で優先順位をつけ、積立ペースを調整することも検討します。
月々〇円を特別費として確保するという金額を決定します。
ステップ4:特別費の積立方法を決める
月々の積立額が決まったら、実際にどのように積み立てていくかを決めます。無理なく、かつ使い込んでしまわないような仕組みを作ることが重要です。
- 別の銀行口座を利用する: 特別費用の積立専用の銀行口座を開設し、毎月給料が入ったらすぐに一定額を移す方法です。最もシンプルで、他の生活費と混ざる心配が少ないため、おすすめです。ネット銀行なら手数料無料で定額自動振込を設定できる場合が多いです。
- 家計簿上で管理する: 実際の現金を分けるのではなく、家計簿の中で「特別費積立」という項目を設け、管理する方法です。現金が手元にあるため誘惑に弱いかもしれませんが、まずは記録から始めたい場合に適しています。
- 封筒や貯金箱で管理する: 積立額を現金で引き出し、特別費用の封筒や貯金箱に入れておく方法です。視覚的に貯まっていくのが分かりやすいですが、紛失や盗難のリスク、そしてうっかり使ってしまうリスクもあります。
- 財形貯蓄や自動積立定期預金を利用する: 会社に財形貯蓄制度があれば活用できます。また、銀行の自動積立定期預金を利用すると、強制的に積み立てられるため、貯められない心配がありません。ただし、引き出しに手間がかかる場合があります。
ご自身の性格やライフスタイルに合った方法を選びましょう。複数の特別費がある場合、まとめて一つの口座で管理するか、項目ごとに分けるかなども検討します。
ステップ5:定期的に見直し、計画を実行する
特別費の計画と積立方法を決めたら、あとは実行し、定期的に見直すだけです。
- 積立を自動化する: 可能な限り、積立は自動で行える仕組みを作りましょう。毎月手動で振り込むのは忘れてしまったり面倒になったりしがちです。給与振込口座から特別費口座への自動振込などを設定します。
- 計画通りに進んでいるか確認する: 数ヶ月に一度、あるいは年に一度、特別費の積立額が計画通りに貯まっているか確認します。
- 計画を見直す: 新たな特別費の予定ができたり、当初の見積もりと実際の金額に大きなずれが生じたりした場合は、計画を見直します。積立額を増やしたり、一部の出費時期をずらしたりすることも検討します。
- 特別費が発生したら積立分から捻出する: 実際に特別費が発生した際には、積み立てておいた分から費用を捻出します。これは、家計が赤字になるのを防ぎ、「貯まる体質」を維持するために非常に重要です。
このステップを繰り返すことで、特別費は恐れるものではなくなり、計画的に管理できるものとなります。
まとめ:特別費の管理で「貯まる体質」をさらに強固に
家計管理において、毎月の収支だけでなく、特別費を計画的に管理・積み立てることは、「貯まる体質」をさらに強固にするために非常に有効な手段です。
この記事でご紹介した以下のステップを、ぜひ無理のない範囲で実践してみてください。
- 特別費になりそうな出費を洗い出す
- 年間で必要な特別費の目安を立てる
- 月々の積立額を計算する
- 特別費の積立方法を決める
- 定期的に見直し、計画を実行する
最初から完璧を目指す必要はありません。まずは過去1年間の特別費を洗い出すことからでも構いません。少しずつ特別費を計画に組み込むことで、急な出費に慌てることが減り、家計に安定感が増します。そして、これは単に節約するだけでなく、旅行や趣味、大切なイベントなど、人生を豊かにするための出費も無理なく楽しむための土台となります。
特別費を管理できるようになれば、将来に対する漠然とした不安が軽減され、「これなら無理なく続けられそう」という自信に繋がるでしょう。「貯まる体質」への道は、小さな一歩の積み重ねから生まれます。特別費管理という新しいステップを、ぜひあなたの家計改善に取り入れてみてください。